リアム・ファルコンは、波乱の青春時代がまさに頂点に達するそのときに、皇帝に就任した。オークたちの反乱が領地に与えた傷跡はまだ癒えておらず、そのうち、奴隷たちによる労働力を失ったことは最大の打撃であった。そして今度は東の領地で反乱が始まった。さらに翡翠海の宝石であるハンマー滝は、フリーシティとして独立宣言。その他の保護領も追随した。

西への拡大はその時、死体が浮かび上がる度にそのパワーを増していくセブンシティーズのネクロマンサーたちによって阻止されていた。ナガ族と彼らの蓮帝国政府は、最も豊かな海と島々を制覇し、冷静さを保っていたナガの者は、地下に棲むドワーフたちにまで挑戦するようなことはしなかった。

皇帝に残されたものは、アイローランの西の森のみであった。そして、魅惑的なまでに平穏な恐ろしいオークの部族が支配する、特別に贅沢な領地がひとつ。皇帝は、火打ち石をこすりあわせて、火を着けろという命令と共に、信頼するグリフィンの公爵パーヴェルを送った。

トゥイダーナ女王としては、彼女が服従を拒否したのと同時に、自身の家族を、親交があったエルフ一族から隔絶した。エルフたちは何千年もの間、多くの領地を所有し、シラニャのいちばんの未踏地である巨大な森林を守りながら森の中で暮らしてきた。他人はともかくトゥイダーナにとっては地のドラゴン女神が最高権力であり、ドルイドたちは啓示夢の中で自分らの上級王を常に選択してきていた。

アーニエルはこれを、デモクラシーならぬドリーモクラシーだと揶揄し、政治家を夢見る素人のお遊びほどに信用ならないと判断、ドルイドたちは無視して、自らオークの葉の王冠をかぶった。トゥイダーナのみが、彼のクーデターを受け入れることを堂々と拒否した。孤独で孤立したトゥイダーナはついに正体不明のフェイスレスからの協議を受け入れた。

ビターアッシュ戦争のためでなければ、トゥイダーナはシラニャからマラッサに信奉を変えるようなことはなかっただろう。ファルコン政権はその時点で既に優勢であったが、エンジェルたちとの同盟によって、比較にならない程立場が有利になった。フェイスレスが争いに突入したとき、勝算は五分五分となった。

ビターアッシュ戦争は第７ドラゴンの５４０年目の年、リアム皇帝自ら率いる神聖ファルコン帝国軍が、オークたちが襲撃をかけたと言われているアイローランの西の森へ報復攻撃の為に侵攻したことから始まった、と言われている。というのが、記録に残る情報である。しかし事実は、もっと複雑である。

第７ドラゴン５０４年、オーク反乱の終盤に、トゥイダーナ女王はオークたちに土地をいくつか与えた。皇帝はその土地が欲しかったためオークたちに攻撃をしかけ、エルフの境に沿って立派な要塞をいくつも建設した。トゥイダーナは、ファルコンが森林を伐採して平地化するのではないかと懸念し、リアムに最後通牒を出した。「撤退か、木の根の肥やしになるがいい。」

トゥイダーナは皇帝に直接面会することに同意。アーニエルは、自称エルフの上級王で皇帝の横に居て、トゥイダーナに紛争のあった森をファルコンに譲渡するよう命令を出した。彼女は何も言わず国旗たなびくその場所を後にした。そして同日の夜、ファルコンの要塞とキャンプは、攻撃を受け敗走した。ビター・アッシュ戦争のその名は、リアムの報復からとってつけられた。彼は森に真っ赤な炎をつけたのだ。

あなたが今読もうとしているのは、私がこの目で実際に見た出来事。私がこの永遠の羊皮紙にその出来事を記す意図は、私に技術を教え、創造途中のアシャンを救った素晴らしい魔法使いたちの存在が、永遠にかつ正確に人々の記憶に残ることを願うためである。さらに、彼らの完遂した任務を称える意味も込めて。私の師は、アシャンをある破滅から救った軍隊の創造において、多くを導いた人物である。
空気を自由に吸うあなたたちは、魔法使いデマラのことをよく覚えておくとよい。

[5A3700]第７ドラゴン３３２年ムーン・マザー７日[-]

戦争の報せがいくつも入った。今日は悪魔を呼ぶブラッドムーンの月食の２周年記念。ファルコンのクランたちは、神殿から敗走した。エンジェルの都市「雲の裂け目」は空から落ちた。ナガは争いを避けて海の中へ避難し、エルフたちは自分たちの森を守り、ドワーフたちは死の脊椎門で敗北した。フェイスレスは沈黙を保った。師デマラと魔法使い５名は、プラン提出のため魔法使い最高会議に謁見を命じられている。

[5A3700]第７ドラゴン３３２年ムーン・マザー１５日[-]

師は、ご自身の大胆なプランに怖じ気づいておられるようだ。私たちには必要な物のリストが配られた。リストに記載されている材料２種類を見て私は息をのむ。
-絶望的な負傷の末に死亡した兵士と逃亡兵の屍１００体
-新鮮なデーモンの血１０樽

[5A3700]第７ドラゴン３３２年サン・ブロッサム１７日[-]

本日また４人の門下生とハウス・アニマの魔法使い１人が去った。大きな桶から跳ね上がった生物は醜悪でグロテスクな姿をしており、目は１つだった。その目から魔法光線を放ち、魔法の大鎌のように私たちを八つ裂きにした。師デマラはその生物をサイクロプスと命名。デーモン・ロードの血は安定した戦士を作るのには強すぎることを特筆する。

[5A3700]第７ドラゴン３３３年サン・ブロッサム２５日[-]

実験室には師がゴブリンと名付けた害虫がはびこる。奴らは何でもむさぼり食ってしまう。サイクロプスは幸い、ゴブリンを好んで食べるようだ。おかげでゴブリンを減らせるし、サイクロプスのイライラも鎮めることができる。小鬼の血は、生存能力ある生物を作るには弱すぎる。

[5A3700]第７ドラゴン３３５年サン・ブロッサム３日[-]

オークが作られた。奴らは完璧だ。目には激しい怒りをたたえ、さらに、サイクロプスやゴブリンが備える知性のようなものも感じられる。師デマラは魔法使いの全ハウスに、オークの成長を促進する方法を調査するよう依頼。

[5A3700]第７ドラゴン３３５年エメラルド・ソング７日[-]

オークには、成長を促進する呪文は効果が無いことが判明。外の争いはこの建物の壁まで近づいてきている。

[5A3700]第７ドラゴン３３５年笑う風１４日[-]

師デマラは本日、オークを率いて戦場に臨むが初回攻撃の際に死亡。戦闘では勝利をおさめたが、師はもう戻らない。

[5A3700]第７ドラゴン３３５年シャイニング・スター１８日[-]

オークを率いる魔法使いたちは決定的な勝利をおさめた。セブン・シティーズは自由だ。軍隊は北へ送られる。

[5A3700]第７ドラゴン３３６年ナイト・べール１日[-]

デーモンたちは敗北した。
アシャンは救われた。
我々はアシャンを救った。

北のクランの民は、光輝くプレート上で姿を隠し、エルラスの羽根を持った民から光の助けを引き出すことを習得する前は、イノシシやクマの皮でできたジャーキンと、ヘンプと葦でできたサンダルだけを身にまといアシャンを放浪していた。

この女と男たちはにぎやかで、怒りっぽい鉄の剣と炎で焼き付けたこん棒を手に持ち、不実さの分だけ残忍に、夏の恵みはもちろん、野いちごの木、魚がうようよする泥だらけの小川をめぐって戦う生活を送っていた。このリーダー不在のクランの蛮行は広く知られており、エンジェルやデーモン、フェイスレスやスピリットも恐れぬシャンティリのプリーストたちに、恐れられていたほどである。

我々の世界で、目的のない人間以上に恐ろしいものはない。彼らの魂はわけあって足かせなく自由で、炉の無い火がどこに向かって吹くかわからない風に乗っているようなもの。

魔法使いサーエラムが、ベールに穴をあけてエイシャの月に昇る、という不可能を可能にしてみせたとき、彼はドラゴン女神と対話し、第７ドラゴンとなった。この偉業は、光と闇を再結合させてエルダー戦争を終結に導いただけでなく、馬の遮眼帯のようになってアシャンの人々を導いていた魂の安定に衝撃を与えた。

サーエラムに導かれる多くの人間は、ドラゴン神イラスの実体の無い風のような約束を後にし、どんな人間もドラゴンになれることができるという新しい信念を求めた。彼らの目的は明確だった。「自分達の預言者が、その新奇な偉業について繰り返し語るのに耳を傾け学ぶこと。」しかし、アシャンに住む人間以外の種族の者たち、つまりエルフにしてもドワーフにしても、またはナガやフェイスレスにしても、さらに私のようなエンジェルにしても、この難解な出来事については一度立ち止まって深く考えざるを得なかった。

悲しいことに、人間以外のソウルたちがまだ、人間がどうしてドラゴンに成り得ようかと首をかしげている間、北のクランの人間たちは、お得意の無知ゆえの至福や、意味のない小競り合いなどといった彼らの性質に、忠実であり続けたのだ。ただ、１人だけは違った。賢明かつ悪名高いクランであるファルコンの勇敢なリーダー、ロナン・ザ・グレート。

ロナンは頭が切れるだけでなく人を引きつける力もあったが、それだけでは北のクランを、１人のリーダーを立てて統一できるとは思っていなかった。そしてそのファルコンのリーダーは、ひとつひとつ計画的に進めることにした。魔法使いたちと取引し、魔法の鋼と皮を交換、そしてドワーフが作るクロスボウも手に入れた。さらに、同様の鉱物から盾を作り、部下の護衛たちにはナガから戦闘技術を学ばせた。そうして、北のクランを統一する準備が整った。

ロナンはハウンドの長を倒し、孤児になった彼の息子にはせめてもの罪滅ぼしとしてグレイハウンドの公爵に任命した。彼はグリフィンの氏族の美しい娘と結婚し、彼女の父親を伯爵にした。ブル、そしてユニコーンの長は順に、降伏を受け入れさせられた。降伏を拒否したフォックスやバッジャーは、１人残らず殺害された。最終的に、海を背に追いやられたウルフは、剣を捨てて自分の皇帝に忠誠を誓った。

そうして北のクランは、疑いと疑問を繰り返していたときにリーダーを得て、１つの目的に向かって結束を固め、１つの旗を掲げるようになった。ロナンの妻が、青い瞳の第１子ブライアンを産んだときですら、常識的なアシャンの民は誰も、ファルコンが、そのような手に負えないクランの数々が一代も存続しないように、世を支配出来るとは現実的に考えなかったであろう。

彼らにはそれ以上もう、間違いようがなかった。エンジェルたちには、目論みがあったのだ。

大天使ミカエルと、卑劣なデーモンたちと危険なフェイスレスに対抗する為、光と正義の軍を率いるべく彼がアシャンへ帰還した事については多く書かれているが、この書は、王や軍の大尉の両方が使用できるように、そして軍事戦略技術ファンや、戦争に備えての正しい準備のためにまとめられた。

大天使ミカエルは強大なパワーと戦略的な戦闘技術において、素晴らしい才能を持っていた。エンジェルたちやクロスボウ兵に檄を飛ばして指揮しながら、戦場の騎士やグリフィンをも扱う手腕を持っていた。彼の戦場での栄光は敵に凄まじいダメージを与えたものの、これらの部隊が価値をさらに証明したのは戦場ではない場であり、そして確かに、大天使の輝かしい優勢部分を決めた因子でもあった。

ドラゴンの信奉者を援助する為にエルラスによって送られた清らかで神聖な光の精霊であるグローリーは、閃光よりも早くどのような場面にあってもリーダーに忠誠心に基づいて行動する。ミカエルはリアム皇帝の軍の最高司令官として、小さな戦闘から大きな戦闘まで、アシャン全土を渡る何百もの戦線で戦う将軍やリーダーたちと同時に連絡を取り合うために、メッセンジャーの中でも最速の者を雇用した。

ブラッドムーンの月食の週、３名のデーモン・プリンスは強大な軍を収集する一方、より低級なカオス・ロードたちは多勢で、ファルコン帝国、セブン・シティーズさらに北部山脈の山麓や山上に渡って広がるより小規模の軍隊を指揮していた。ミカエルはカオス・ロードの軍隊とは鉢合わせしないように願わずにはいられなかった。というのも、彼らのカオス然とした凶暴さでは、高潔さを保持した対決は期待できないからである。それでも真実を盾に、ミカエルは、他と同様に彼らも制覇した。

グリフィン公領を率いるアントン公爵は本日、ブラインド・ブラザーズよりリアム皇帝の悲惨な攻撃からファルコン岬を防衛したことで評価された。アントンがミカエルにグローリーを送ってその苦境な状況と、デーモンたちはミカエルが帝国軍の主要部と共に戻って来るまでは完全には部隊を派遣しない、ということを警告したのだという者も少数ながら存在する。

ミカエルは、敵と味方の動きに関する情報を報告するようにとの明確な指示と共に、重要な領地に８０以上のグローリーを配置していた。ウルフのイリーナ王女がナガの軍隊と上陸したとき、ミカエルはその日のうちに情報を耳にしていた。セブン・シティーズのネクロマンサーが病の運命の谷でデーモンの大軍に耐え抜いたことも、１時間以内に把握していた。

グローリーは、危険なタイプの闇魔法に対して免疫がある。デーモン侵攻の間、フェイスレスはミカエルを何度も殺そうとしたが、グローリーたちはそれを全て阻止した。しかしミカエルは、デーモンたちが破れミカエルのガードたちが倒れた後だったが、予測しない形で殺された。ミカエルは自分のグローリーたちが５年間に渡る任務から休息をとれるよう、魂の世界へ送り返していたのだった。そして闇の軍はミカエルを不意打ちした。

大天使ミカエルの死、光の軍の大佐であり最高司令官である彼の死を避けることは可能であった。ミカエルの光の盾が機能しなくなった後では、彼の戦術の才覚のみでは、不測の事態には適わなかった。今では、我々のドラゴン、エルラスの真実のみがマラッサの闇の計画を蹴散らすことができるのかもしれない。

彼女の人間の子供らが泣いた時、彼女は葬られ、ひとりの息子が光の旗を、もうひとりは混沌の剣を勝ち取ったが、それでも闇の月は彼女の墓石に刻みこまれた。それは、ドラゴン女神のマラッサが嘆き悲しむときの、悲痛と冷たさそして輝きを表すイメージだった。

レディ・ケイトは、スタッグ家に生まれグリフィンへ嫁いだ。愚かな皇帝、または皇帝の優秀な使者たちや光のエンジェルたちを批判する彼女は一体何者か？何やら秘密の気配を漂わせつつも、自分の心が正しいと思うことをする性格でありながら、彼女は母親側を後にして雪のように冷たい男と結婚した。ケイトは子供を４人産み、全うな人間になるように育てた。子供たちが自分で物を考えられる年齢になった頃、彼女はマラッサが呼ぶ声を聞き、ある時代の記憶を保存するべく、さらに高い目的の為に子供たちを残して去った。

ケイトはドラゴンの騎士になり、我々の女神の聖なる姿になった。ドラゴンとして、謎と闇よりも高い場所を舞い、理解と慈悲にあふれ、彼女は我々のわずかな努力を結合させ、ひとつの闇にし、目がつぶれるほどの容赦ない強い光を覆いつくすことができる。

ファルコン率いる帝国の大天使ミカエルは、エルダー戦争での敗北を考え、卑劣な計画を持つエンジェルたちによってフォージされた、ある巧妙な乗り物で戻って来た。ミカエルのフェイスレスに対する憎しみは、人知れず、巧妙にそして狡猾さを持って、我々の師や友に敵対した。ミカエルの怒りは、彼にひとつの意志をもたらした。それは、頑固な真実の壁の向こうにある国家を統一することであった。たとえば、多くのデーモンを屈従させた桁外れな力を持つあの軍団のように。我々にできるのは、彼らのエルラスがカオス・ロードたちを彼らの扱う火とよく似た炎をもって消し去ってくれたことを感謝するくらいであるが、その正義の炎には常習性があり、それは、年老い、危険なほど高く怒りを燃やし、抑圧の深みにはまったうやうやしいひとりのエンジェルよって吹き付けられた炎であったことが明らかになった。

マラッサのその不可思議なやり方は我々の理解を越えていて、真実はひとつの魂の限界を思えば荷が重過ぎる。しかし、人間が、ケイトのように最も弱いものを守る為に自らの命を差し出すときや、我々がより幸せな未来を思い描く権利を守ろうとするとき、ドラゴン女神は悲しむ。そして、我々闇の民は、彼女が通って来た道を、ろうそくの灯火や影の中に、昼も夜も、切望するときも悲しいときも、熱情のときも恐れるときも、常に記憶するのである。

ケイトは死んだ。

マラッサは我が娘を思い嘆き悲しむ。

彼女の死が永遠に記憶されることを祈って。

[5A3700]ファルコンの皇帝たち[-]
ロナン・ザ・グレートからレア・ザ・ピースメーカー、そしてヒーリングの歳月の最後まで

[5A3700]ロナン・ザ・グレート[-]はファルコン一族のアーゼルとガレナの息子で、第７ドラゴン３年に帝国を建国した。彼はファルコン家の茶色い髪のトレヴァと結婚し、息子３人と娘１人に恵まれた。第１子は男の子で跡継ぎのブライアン。ブライアンは第７ドラゴン１８年に誕生。

[5A3700]祝福を受けたブライアン[-]は、第７ドラゴン３５年に王位を継承し、４５年の夏にグリフィン家の明るい髪をしたブリエッタと結婚した。ブライアンはドラゴンのエルラスに奉じた。ブライアンとブリエッタはブライアンが６５年に死を遂げるまで平和に国を治めた。子供は７人授かった。

[5A3700]有能なロナン２世[-]は、ブライアンとブリエッタの息子として生まれ、第７ドラゴン６５年に王位を継承、翌年にスタッグ家のアメナと結婚。

[5A3700]愛しのローガン[-]は、第７ドラゴン８６年に王位を継承し、９０年に金色の髪を持つグレイハウンドのオーブと結婚。７人の子供に恵まれたが、第１子のモーヴァンは７歳の時に病死。第２子は息子で、１１１年に生まれ、コナーと名付けられ、空から星が落ちて来た後に、王位を継承。

[5A3700]優雅なコナー[-]は第７ドラゴン１１９年に王位を継承した。１２３年にグリフィン家のタティアナと結婚。金髪の娘５人と茶色い髪の息子１人、レゲーをもうけた。娘たちは神聖ファルコン帝国の５つの公国へ嫁ぎ、息子は１４７年に６つ目の公国ウルフのイングリッドと結婚。コナンの統治期間は６０年。タティアナの死後、１６０年にグレイハウンドのヘレンと再婚した。彼女は帝国に２人の赤毛の娘をもうけた。

[5A3700]レゲー・ザ・マッド[-]は第７ドラゴン１７４年、４０歳の時に王位を継承した。自分の軍のリーダーをヤギと命名。ウルフ家の悲しみイングリッドと結婚し、１２人の子供をもうけた。不運な事に、うち７人は幼少期に死亡した。

[5A3700]ユーワン・ザ・ビルダー[-]は第７ドラゴン１９９年に王位を継承し、２０年後ブル家のルシンダと結婚した。第１子のブライアンは、１７５年に誕生し、２２３年ユーワンは狩猟の最中に死亡し、王位を継承した。

[5A3700]陽気なブライアン２世[-]は第７ドラゴン２２３年に王位を継承。１８８年にスタッグ家の黒髪のモーガナと結婚し、３人の子供をもうけた。戦場で死亡した皇帝は彼が最初。彼の死は、ヒーリングの歳月と呼ばれる時代に終止符を打った。

[5A3700]耐え忍ぶロナン３世[-]は第７ドラゴン２６０年に王位を継承。ブライアン２世の孫にあたり、父親のプリンス・アイメリックは、父親のブライアンの１日前に戦死した。彼はユニコーン家のアリスと２３８年に結婚。子供２人をもうけ、猛烈モーヴァンは長子である。

[5A3700]猛烈モーヴァン[-]は第７ドラゴン２６１年に王位を継承し、２３９年にユニコーンのヴィクトリアと結婚。子供は無し。ヴィクトリアは不貞の罪で処刑され、モーヴァンはグレイハウンド家のベリンダと結婚したが、モーヴァンの子供を授かる前にモーヴァンは戦死した。

[5A3700]レア・ザ・ピースメーカー[-]はシーマスとエレナの娘で、第７ドラゴン２６４年に王位を継承。モーヴァンの姪にあたる。王位継承の前年にグレイハウンド家のセバスチャンと結婚。６人の子供をもうける。

我々が、師サーエラムの足跡を受け継ぐべく努力を続け、悟りを求めるべきであると同時に、この世界の起源を覚えておくことも重要である。ドラゴンの神々とデーモンの存在を否定することが不可能なとは違い、これからの話が全て否定不可能な真実だとは思っていない。しかし心の中では、この古代の物語のある側面は実際、賢明で複雑な比喩であり、ドラゴンに匹敵する存在になることへの道を開く鍵になるのではないかと考えているのは確かである。

最初は、魔法と虚空洞しかなかった。魔法は、自身を小宇宙の卵に形を変化させた。卵の中にはドラゴンの双子、エイシャとアーガッシュがいた。彼らは女の子と男の子であり、順序と混沌であった。殻を破るまで、彼らはプライム・マジックによって育てられた。この根源的ドラゴンたちは虚空洞の真ん中に存在する為に発生し、その無限のパワーを利用する可能性を持った原始であった。弟のアーガッシュが魔法の無限の可能性に耽溺し、無限の自由の可能性を夢みているのに対し、姉のエイシャはその無限の可能性に形と目的を持たせることを決意した。

エイシャは、 小宇宙のような虚空洞に浮かぶ物を見つけ、それらを定義付け、名前を魔法の６つの「色」にちなんで付けた。それは、闇、光、地、火、水そして大気であった。これらは彼女が宇宙を織りなすための糸であった。エイシャは、自分の創造を導き支配するため、魔法の色を象徴するドラゴンの子供を６体産んだ。闇の娘マラッサ、光の息子エルラス、地の娘シラニャ、火の息子アーカス、水の娘シャラッサそして大気の息子イラスである。エイシャは子供たちと共にアシャンを創世した。後に世界がアシャンと呼ばれるようになったのは、エイシャの名前が由来になっている為である。
アーガッシュはエレメンタル・ドラゴンたちとエイシャが創った世界を傍観し、胸の中に嫉妬と嫌悪感を際限なく膨らませていった。エイシャが創ったものは、アーガッシュが破壊し、エイシャがひとつにまとめたものは、アーガッシュがほどくか破壊する。エルダー種族の模倣で、アーガッシュはデーモンを創造した。デーモンは、絶えず変化する状態に生き、どんなに卑劣でも感じる衝動全てに屈する。順序と混沌は、後の「創造の戦争」の間に衝突した。この戦争はあらゆる現実面において戦いが発生する全面対決であった。

順序側の圧勝で戦争は幕を閉じた。アーガッシュは戦いには負けたものの、自身が完全に破壊されたわけではなく、灼熱の核部分にある刑務所に流刑になり、彼の極悪非道な子孫は、世界の果てへ四方に逃走した。無人の場所に潜伏し、彼らはゆっくりと力を増していった。エイシャが彼女の創造に与えられた被害を目にしたとき、彼女の子供たちが受けた傷をみて、彼女は無数の涙を流し、それは、混沌がもたらした退廃を世界から洗い流した。
エイシャの涙は彼女の創造を２つに分けた。ひとつは、時間のサイクル、生命と死、季節と昼と夜の移り変わりが起こることを条件とした物質世界。そしてもうひとつは、混沌によって汚される前の、完璧で不変のアシャンの鏡像のような魂の世界。その２つの世界は、夢、幽霊、凍った記憶で満たされた魔法の門であり、控えの間である「ベール」によって隔てられる。ドラゴンたちは、しもべの種族をベールの向こう側に置き去りにして、魂の世界に住むだろう。
ベールの創造は、神話時代の終わりであり、古代の夜明けである・・・。

この報告書は大天使ミカエルの依頼により、第７ドラゴン５６１年に作成された。

サーエラムの弟子たちによって創設されたセブン・シティーズのアカデミーはそれぞれ、我々の神聖帝国の外側アシャンにて最高の権力を持つようになった。前世紀では、セブン・シティーズは大々的に分裂が進み、様々なハウスに細分化し、常に競い合う状態であった。この現象は、もしも帝国がこの異端者たちと戦争するようなことになれば、我々にとっては好都合である。

セブン・シティーズに現在存在するハウスの詳細を以下に記述する。心に存在する神聖な愛に祝福を。

冒涜[5A3700]ハウス・エテルナ[-]はアルベティルの街を支配し、現在は最もパワーを持つハウスである。ベルケスによって比較的最近に創立されたが、その我々の堕ちた兄弟ベルケスは、サーシャッザーの異端の教えを信奉し、彼の師が示さねばならなかったもっとも暗い道を進むために、我々の父エルラスへの信奉を拒否した。エテルナは彼らの所有するアンデッドの軍隊で知られ、アンデッド軍は闇の魔法使いネクロマンサーに召喚され支配されている。ハウス・エテルナは現在、女王蜘蛛を信奉する修道会に変化しつつあり、それはアシャの一側面ということになる。つまり、ハウス・エテルナは他のハウスと不和な関係を余儀なくされる立場となる。なぜなら魔法使いたちは、ドラゴンの神々の導きを傲慢に拒否し、自分達を頑固な無神論者であることを誇りに思っているためである。

アルサフィールの[5A3700]ハウス・アニマ [-]は、パワーと影響力の面では２番目に位置する。そして政治の面ではネクロマンサーと頻繁に敵対する。また「召喚師」や「エレメンタリスト」などと呼ばれ、所属する者は古代のシャンティリの儀式からインスピレーションを得て、魂を結合させる。セブン・シティーズでは最初の魔法学校であるが、魔法界における彼らのパワーは着実に衰退の一途を辿っている。ハウス・キメラが神の恩寵を喪失した後、ハウス・アニマは失った政治的影響を取り戻したが、エテルナの軍とは比較にもならない。しかし、彼らの燃えるような競争関係が目に見えて発展するのは数年後である。アルイムラルの

[5A3700]ハウス・マテルナ[-]は比較的マイナーなハウスだが、ここ数１０年で影響力を増してきている。帝国の知識を求めて、古代のシャンティリ遺跡を発掘している。彼らの動く彫像の集合的な実験は「建造物」として知られ成果を見せている。ハウス・マテリアは、ゴーレムやタイタンの兵士で構成された軍をセブン・シティーズに提供することに成功した。私の情報源によれば、彼らは空飛ぶ建造物または「ガーゴイル」を作成しようと試みているらしい。建造物は、払う犠牲も大きいが、獣人や半分デーモンといったような常軌を逸した創造物よりも信頼性があり、 他のハウスにとっても現在ハウス・エテルナが軍事における支配力に挑戦する方法の１つとなる。特にハウス・アニマとマテリアが手を組んだ場合などはなおさらである。アルルビットの

[5A3700]ハウス・キメラ[-]は、オークと獣人を創造した。彼らはかつて、紛れもなく、全魔法使いのハウスのリーダーであった・・・。それは、オークの反乱が彼らの影響力を壊滅させるまでの話である。どうやら、自分達の創造したものから受けた打撃と魔法使い仲間からの悪評から回復しなさそうな気配が漂っている。キメラはエテルナとアニマの影に隠れ、そして彼らの故郷での支配力にまで疑問が上がっているほどである。報道によれば、紅の魔法使いには、セブン・シティーズを完全に引き上げて、どこか再出発できるようなフリー・シティを見つけることを考えている者も何人かいるらしい。より暗いニュースは、デーモン集団の中でデーモン信奉に関連した事件が増えているということである・・・。

我々の師でメンター、そして手本であり友人であるサーエラムは、魂の世界へ旅立ち第７ドラゴンとして戻って来た。これから記すことは、私の言葉というよりは、彼の言葉である。折に触れて、私はベールに穴を開けることに成功し、向こう側を歩いたことがあるとは言え、虚空洞を通リ抜けてエイシャの月へ行き、全ての記憶とドラゴン神のパワーを持って、かつ正気を保ったままの帰還を遂げたのは、サーエラム以外にまだ誰もいない。

魂の世界は、 混沌のドラゴンであるアーガッシュとアーガッシュの民のデーモンたちがデーモン大君主に先導され、ドラゴンの神々とその民を攻撃した創造の戦争の後に作られたと言われている。創造主であり順序のドラゴンであるエイシャは、負傷した傷の治療のため月へ戻り、今もそこに住む。彼女はベールを創造し、デーモンたちから来るあらゆるものをシールドし、アシャンの人々が常に単一から誕生した２つの世界を持つことができるようにした。我々が現実と呼ぶ世界と、ベールの向こうの魂と呼ばれる世界。

[5A3700]最初の法則[-]

[543700]現実世界で壊れてしまう物も、魂の世界ではその存在が消える事はない。[-]これはベールの最初の基本法則である。

[5A3700]固い物が破壊されると重い影になる:[-]城や岩、山そして海などならば、衰えて重い影になる。影は一貫性を持ち、触れることができるだけでなくその上を歩くこともできる。魂の世界で最も奇妙で不気味なのは、家や城などを破壊し、同じ場所にまた何か建設すると、古い建物と新しい建物の両方が存在するようになり、両方を訪問することも可能であるということだ。同じ場所に何百件も家が建っているような場所が存在するが、そこでは、誰かがその家を訪問したいと心に決めるだけでその家のイメージが出現し、イメージはその人が家を離れるまで残る。

[5A3700]木々:[-]ドリュアスのいる木々は魂の世界では動くことができる。ちょうど、現実世界でエントが動けるのと同じように。ドリュアスのいる木は現実世界で破壊されると、魂の世界ではどこでもまた根を張ることが出来ると言われている。ちょうど、地面の中の種のように。

[5A3700]生命ある創造物:[-]生命を吹き込まれた創造物が死ぬと、魂は魂の世界へ行き、そこで意識を取り戻す。これは魂にとって極めて重要な瞬間である。月へ飛んで生まれ変わりを受け入れるか、魂の世界に居残って穏やかに逝くことを邪魔する問題やトラブルを解決するのかを決断しなければならない。より頑固な魂は、現実世界でどのようにして幽霊として姿を現すかを学ぶことになる。

[5A3700]ディジンたちと精霊:[-]ディジンと精霊たちは魂の世界の出身だが、現実世界へも召使いや味方として行くことが可能。シャンティリ帝国を離れた偉大なマージ・プリーストたちは、この魔法を他の誰よりもマスターしており、その２つの世界の永遠に続く接点を開発した。しかしディジンたちは、結局サーエラムがドラゴン爵に昇格した後になってから姿を表した。またディジンたちは、現実世界で姿を破壊されても、魂の世界に再び出現することができる。事実、ディジンを「破壊する」という表現はおかしい。「追い払う」とか「追放する」が正しい表現である。

[5A3700]アシャンの生き物図鑑[-]

[5A3700]グリフィン[-]
グリフィンは卵を守る時は非常に獰猛になる。近づく者は誰でも容赦なく引っ掻き、はたいて攻撃する。それでも、もし卵がひとつ無くなった場合は、例えそれが泥棒や通りがかりのゴブリンの仕業だったとしても、グリフィンは残りの卵を守り抜くために追いかけることは一切しない。この母親と父親は生涯を添い遂げる一夫一婦制で、彼らは、１つの卵の為に巣を離れると、他の命を危険にさらす事をわかっているのだ。エイシャは我々に例え子供を１人失ってしまっても、生きている他の子供たちのためそしてドラゴンの賛意のために、７日以上嘆き悲しんだり、愛のない絶望に暮れたりしてはいけないということを教えるために、この素晴らしい生き物を創造した。


[5A3700]馬[-]
エイシャは馬が創造された日に彼らに尋ねた。「アシャンで果たしたい一番の目的は何か？」馬は答えた。「大気の民に仕え、彼らがより素晴らしい事に到達するのを助けたい。」そしてエイシャはひづめと４本の脚、頑強な背中を作り、人間たちに労働と旅の役に立つように与えた。農民が彼らの神に願うのと同じように、馬たちが我々人間という種族に希望を抱いたという意味でも、この動物を大切にするのは良い事である。

[5A3700]イノシシ[-]
イノシシは、傷ついており、馬の強さとサイクロプスの怒りを併せ持つ。エイシャはわざとイノシシをそのように作って、ハンターたちにクロスボウでのイノシシ狩りが危険であることを警告している。クロスボウではイノシシを殺すことはできない。槍または勇気だけが、この立派で美味な動物を仕留めることができる。


[5A3700]マンティコー[-]
マンティコーは、生き物は鋭いダガーのごとき歯と爪などだけでなく、針さえも持つことができるのだということを、エルラスを信奉する人々に思い知らせる。ドラゴンたちの母が顔を３つ持つように、マンティコーは３つの武器を持っている。そのため商人の中には、契約を破るということは、外側と内側の両方に起こりうる被害の可能性を全ての者に示すべく、契約書ではマンティコーの毒に関する事項を含めてサインすることを主張する者もいるほどだ。

[5A3700]バッジャー[-]
バッジャーは木の保護のもとに子供を育てることを好む。平和な生き物で、家を囲む葉っぱや根と草を食べる。エイシャが、もうひとりの友人の家の神聖な場所を汚さないようにと我々に教える為に作った。最も優しい生き物が殺人モンスターにならないように、と。

プリースト・ハウス・スタッグのシーマス

私はセブン・シティーズが誇るブロンズメッキの輝きのように、言葉を飾り立てたり、懇切丁寧に物事を説明したりするタイプではない。私はハウス・マテルナの魔法使いで、実用性を重んじる男だ。そして先日、シンプルな問題の解決策を見いだす仕事を頼まれた。あの獣人の事件、つまり我々の壁や塔が根底から震撼させられたあの激しく「予測不可能」であった反逆以来、我々は贅沢な生活を継続するための軍事力も、十分な労働力も無い状態になった。

私は建築者であり、設計士であり、つまり物を作る者である。何世紀もの間、我々のハウスは他のハウスに炎の玉や、奴らのオークの連隊、血に染まったマージたちなどをもてあそぶことを許してしまった。奴らは、我々が町や橋、塔や採掘場を作っているときに、戦闘と月桂冠を勝ち取った。我々が労働している間に、奴らは遊んでいたのだ。変化の時がきた。

ハウス・エテルナは、我々の防衛を強固にするため、堕ちた者の体と魂を使ってアンデッドの軍隊を作ろうとしている。私自身は、自分の予感が、単なるありふれた錯覚だとはまだ思っていない。かつて我々も彼らのように、創造物の意思はコントロールできるものだという考えだったが、しかしゴブリンですら反逆を起こした。奴らのグールや幽霊も同じようなことをする可能性はある。セブン・シティーズについては、ひとつだけ解決法がある。我々は、臨機応変に困難に立ち向かうことのできる才覚を見せしめるため、軍隊を作らなければならない。軍隊は、過去の秘密から作り出さねばならない。我々は、我々の祖先シャンティリのタイタンを再建する方法を見つけ出さねばならない。シャンティリは、石で作った軍隊で、２０世紀もの間、強く、不死身であり続けた。

そう、シャンティリのマージ・プリーストの秘密を見つけ出すのが、わたしの任務。マージ・プリーストは、ドラゴンの謎を理解しており、ちょうどアルサフィールが町の図書館に行くような具合で、ベールを抜けて魂の世界へ渡ることができる。どこを探せば良いかわからないが、何を探すべきかは分かっている。

一年ほど前、私は考えにふけっていた。すると、巨人の白昼夢を見た。タイタンが我々の敵を倒し、町を守っているところが見えた。その夢を魔法で石に刻みつけ、今も常に持ち歩いている。私はその石をタイタンファインダーと呼んでいるが、このアーティファクトを作るのにはかなり苦労した。ポケットの中で温かくなり、高いエネルギーを持つ振動を送ってくる。その信号に従い、私は魔法界の東海岸に向かった。現在は、翡翠海岸の方向を指している。確かに、このストーンヘルム、パオ諸島、もしかしたらハンマー滝にまで広がる地域で、私は、シャンティリの秘密を見つけることができるだろう。

私、そしてハウス・マテリアは、石と鉄でできた軍隊を作り、セブン・シティーズは再び不死身の力を取り戻し、アシャンを守り、魔法を作成し、そして第７ドラゴンであるサーエラムの正当な遺産となるのだ。

アシャンの歴史の記録にある限りでは、このカーサルの素晴らしい港は、ファルコンの皇帝たちの冠の宝石の１つであるとみなされて来た。カーサルという名は、エルフの言葉「ケーサル」に由来すると言われ、意味は、「素晴らしき緑」である。美しいエルフの森の端に位置する事から、そう名付けられた。

町が存在する前、そこにはカーサルの見張り塔として知られる立派な大聖堂が建っていた。そこは、エンジェルたちがエルダー戦争で最初の大勝利をあげた場所である。この歴史的建造物の周囲には、要塞がそびえ立っており、現在は近代的な町のアッパー・ディストリクトとして知られる。そこから、町は発展した。大天使ウリエルとサラ率いるエンジェルたちが、カーサルをファルコン家に差し出したのは、若き皇帝ブライアン・ファルコンがエルラスの信奉に改宗したばかりの頃であった。

カーサルが帝国の最も美しい町のひとつと見なされている一方で、神聖国家内における、実際の政治状況については長い間議論が交わされて来た。帝国の中心地から遠くはなれ、町とそれを囲む半島はときに、公爵がおらず実際の権力もないため、帝国の保護領としてしか機能していないものの、帝国の「７番目の公領」として見なされている。日々の業務は見張り塔で町の枢密院によって采配され、しかしカーサルは自身の軍隊を持たないため、周辺のユニコーンやグレイハウンド公領のサポートに頼らざるを得ず、そして通常は、皇帝から任命された総督が元首となっていた。

もちろん、グレイハウンドとユニコーンは、そのポジションを得ようとして各々の候補者を強く推薦する。というのも、カーサルは、アイローランとセブン・シティーズの重要な貿易センターであり、つまり富を得る重要な源なのである。それまでエイジン半島の総督は、カーサルや半島に実権を握られることはなかった。しかし、皇位が内部からの候補者を総督として選択する可能性も十分にある。現在の総督、ジョン・モーガンのケースがそうである。モーガンはグレイハウンドの総督で第２の蝕の間に死亡したとされたロード・モンバードの後を引き継いだ。

そのエンジェルたちからの贈り物から数世紀の間に、半島の人間の人口は数を増して行った。シーへイヴンやソーピガル海岸といった町が作られた。カーサルと半島はそれぞれの重要性において成長をし続けたのと同時に、町の住民の中には、より自由な自治権を求めて「カーサル・リーグ」という名で結束した者もいた。町はデーモンから自らを自分達だけで守らなければならない状況に陥り、彼らの主張する主な論点の１つは、その後第２の蝕に突入することになった混沌に関することとなった。グリフィンのアントン公爵とハウス・エテルナのネクロマンサーが時間内に到着しなければ、町がデーモンに滅茶苦茶にされ、多くの命が失われただろう。

保守派の貴族は、カーサルが帝国から完全に分離してフリーシティー連合に加入する可能性を懸念して、リーグの嘆願には反対の姿勢をとり続けた。このあからさまな不信は、リーグの憤りに火を注ぐのみであった。

サーエラムの弟子たちによって創立されたセブン・シティーズは、アシャンにある好奇心駆り立てられる場所のひとつ。この立派な魔法の王国には多くの町があるが、セブン・シティーズの地名は、サーシャッザーそしてサーイス、サーアグレスによって最初に作られた７つのアカデミーに由来する。この美しい宝石の名を単に列挙するだけで、サハラ砂漠に咲くバラのように、私の心は誇りと喜びで満たされる。
[5A3700]アルサフィール[-]は、ハウス・アニマの召喚師の生家である。
[5A3700]アルベティル[-]は、黒魔術のスパイダー・カルトの発祥。
[5A3700]アルイムラル[-]は、その大胆な建築様式と精巧な構造を持つ、ハウス・マテリアの砦。
[5A3700]アルルビット[-]は、私の誕生の地であり、私の団体、ハウス・キメラのパワーが炸裂する場所・・・

とは言うものの、魔法使いが建てていない町があり、その町は別の界に存在するにも関わらず、その他多くの町と同様に認められ、「８番目の町」と呼ばれている。それは、[5A3700]カーサル[-]以外の何者でもない。そう、カーサルの旗は神聖ファルコン帝国のものだ。（町を散策すると、建築様式や文化的な面で、カーサルとファルコン岬やヨーウィックまたはニルシェイヴンよりもカーサルとセブン・シティーズの間の類似点がより多いことが分かるだろう）。

これは、我々の基本的な歴史を見ればさほど驚くべきことでもないことが分かる。この町にはかつて、アルイムラルの商人たちよりも隣接する帝国公領と連絡が盛んだった時代がある。デーモンたちが第２の蝕時代にエイジン半島を抜けて大暴れしたとき、アルベティルのネクロマンサーたちはカーサルを神聖帝国の騎士たちとともに、カーサルを守るために戦った。そして、戦いが終わった時、我々ハウス・キメラの紅の魔法使いたちが救援活動をし、食料や薬を人々や獣人の労働者に届けて、町の再建に貢献した。

そうしたこともあって、私はカーサルにおけるセブン・シティーズの大使に任命された。ただ、就任自体は、もう９年前ほどになるが、ナガの悪漢どもや海賊などで即席に寄せ集められた冒険家たち軍団によって遅れるはめになった。とはいえ、また横道にそれてしまうが、その話は私の日誌に記録されていることも特筆しておこう。

以来、私はカーサルを我が故郷と見なしており、だからなおさら、帝国がこの素晴らしい町とそこに住む勇気ある生命をむげに扱うことに心を痛め続けている。状況は女王グウェンドリンの統治下にはいってから好転した。特にジョン・モーガンが半島の総督になってからは。しかし、私はカーサルと帝国間における信頼と忠誠によって結ばれた絆は、永遠に損なわれたと思っている。

未来に何が起こるか予測はできないが、私の心の中では、カーサルとセブン・シティーの運命がこれから来る長い月日を越えて、ぴったりと寄り添い、絡み合っていくであろうことには、ほとんど疑いを持っていない・・・。

[5A3700]セイレーンの呪い[-]

[5A3700]詞[-]
耳をつんざく音、彼女の叫びが響き渡る
彼女に呪文をかけられた
窓が開き彼女は叫び出す
俺は君のしょっぱい秘密を受け取ろう

結婚したのはある夏の日
雨ふりな人生を思わせる啓示
そして今セイレーンの呪いを夢見る
痛みから自分を救うために

[5A3700]コーラス[-]
男が丸太の船にのって旅立つとき
男は心を海岸に置いて行く
波の下を泳ぐほうがましだ
君に俺をもっと愛させるくらいなら

[5A3700]詞[-]
僕の花嫁さんはかわいいいやつだ
彼女のいぼは過去の傷あと
彼女のかわいい声に比べりゃ何でも無い
戦争を７つ起こしてしまった

親父は言った
おふくろのような女とは結婚するなと
でないと毎日が波の下
ラム樽の下

[5A3700]コーラス[-]
男が丸太の船にのって旅立つとき
男は心を海岸に置いて行く
波の下を泳ぐほうがましだ
君に俺をもっと愛させるくらいなら

[5A3700]コナーの宝[-]

[5A3700]詞[-]
金と宝石、真珠にプライド
全て後に残して
宝はたったひとつだけ
価値ある挑戦
おまえの心が俺のものであるよりも

[5A3700]コーラス[-]
コナーは名声と栄光を約束した
話の中の残忍な敵たちと場所
自分の城
そして俺は今ひとり死に往く

[5A3700]詞[-]
傍を離れないでと言った君
これ以上証明する物は何もない
俺と結婚してくれると約束した
俺には愛とスカーフを残して行った
涙も拭いてあげたし股がったりもしてやったじゃないか

[5A3700]コーラス[-], [5A3700]コーラス[-], [5A3700]コーラス[-]

[5A3700]ゆかいな渡り鳥のうた[-]

フォスター岬の港をたつ
ゆかいな渡り鳥に乗って
有名になって金持ちになるために
ゆかいな渡り鳥に乗って

海賊やごろつきは
ゆかいな渡り鳥に乗って
ガリオン船をいくつもおそった
ゆかいな渡り鳥と一緒に

海の底まで
ゆかいな渡り鳥は行った
皇帝海軍が来て
ゆかいな渡り鳥は沈んだ・・・

[5A3700]海乗りの約束[-]

[5A3700]詞[-]
処女月のある日海に出た
俺のジェンナの横から去った
頬に転がる涙の粒
シャラッサ月の真夜中の潮流
俺のジェンナの横から去った

[5A3700]コーラス[-]
あいつは涙を流し俺は叫んだ
死ぬまであいつを愛する
でも次の港で若い女に会った
俺に嘘をつくことを誓わせた女に

[5A3700]詞[-]
真珠月に女と会った
名前はアナベル
グリフィンの歯のように鋭いキス
ズボンを膨らませるために

[5A3700]コーラス[-]
あいつは涙を流し俺は叫んだ
死ぬまであいつを愛する
でも次の港で若い女に会った
俺に嘘をつくことを誓わせた女に

[5A3700]詞[-]
パオの島で
ラッシュという名のオークを愛した
焼きもち女に変身した
だから逃げなきゃならなかった
ラッシュという名のオークを愛した

[5A3700]コーラス[-]
あいつは涙を流し俺は叫んだ
死ぬまであいつを愛する
でも次の港で若い女に会った
俺に嘘をつくことを誓わせた女に

何年もの平穏な年月が、何度も何度も過ぎ去った雪の季節に埋められていくうちに、男と女はドラゴンへの敬意を忘れた。

冬がカーサルの村に近づいて来て、農民の娘が町へ走って来た。羊がいなくなり、恐ろしい獣のせいだと思うというのである。調査が行われ犯人が見つかった。それは、カモだった。そしてたしかに、うろこに火花を散らしながら飛ぶ姿は山間で一日３回は姿を見られていただろうし、そのかわいそうな目には不思議な光景であっただろう。

しかしそれでも、人々の中に恐れは残り続けた。それに羊のこともあった。冬は来るし羊毛が無くては、さらに言うまでもなく、マトンとラムが無くては、寒さは余計に身にしみる。春が訪れ冬を飲み込んでしまうまでは。

村人が、羊を食べるカモを罵る。この厄介な羽根つきのクマめ。７００ゴールドの賞金をかけると、アシャンの風が運ぶ噂を聞きつけ、 大人数の騎士やハンターが集まった。

彼らの勇気と技をもってしても、ドラゴンは探索の手からうまく逃げる。英雄どもは、食事と宿泊が無料でないことに文句をいい始めたが、それはカーサルの村人が諸外国の懐をあてにしての策略だった。剣が振りまわされるようになるのも時間の問題で、素敵な村が略奪されようとしていた時、悪戯好きな叫び声がちょうど地平線の向こう側から聞こえた。

ドラゴンが怒りのサークルを描きながら小さな村の上空を舞い、かと思うと急降下して、羊よりも旨い馬を奪った。英雄どもが機転を利かせて、その空飛ぶ獣を追ったが、夜が訪れ高い部屋へ戻らざるを得なくなった。そして、うわさが本当であったことと、これは商人の茶番ではなかったことがわかって満足した彼らは、さらにやる気になった。そしてドラゴンは伝説になった。

カーサルは、この正体不明の馬食いカモを見つける商売が盛んになった。嘆願者は全員、厳しい自然と対峙するための物資と道具を揃えなければならなかった。時折、羊が姿を消す事があったが、それはドラゴンの仕業だと思われていた。農民は牛乳と卵で通常の倍かせぎ、村人は小さな運にかけるしかなかった。事態は、誰かが「ドラゴンが殺しをするようになったら、俺たちはどうなるんだ・・・？」と言い出すようにまでなった。

そこでリリーは魔法陣を描き、ドラゴンを鉄の矢やさびた槍から守ることにした。彼女は、多くの男が倒れていた場所に、その獣が小川の水を飲んでいるところをすぐに見つけることができた。ドラゴンは振り向き、話した。

「わたしを殺しに来たのか、心正しきお嬢さん。」
「いいえ、気高き創造物のあなたには、ただ、あなたのうろこに魔法陣をかけることができたらと思っただけ。」
「ハンターたちを連れて来てわたしの命を断とうとしたのは、君ではないのか？」
「あれは、私・・・、後悔しています。でも、あなたは私たちの暮らしの糧を食べていたから。だけど今は、あなたのおかげで、もっと豊かな生き方を見つけることができました。」
驚いたことに、そのドラゴンは男に姿を変えた。彼は自身を、変身できるマージであることを話し、ウィンクをしてその少女の手をとった。
「わたしのことは誰にも話してはいけない。そしたら君のことも秘密にしておくよ。」
カーサルは成長繁栄し、ドラゴンの賞金で旅行者をひきつけるも必要なくなった。しかしカーサルの市民にドラゴンが存在したと思うか聞いてみるといい、彼らは絶対にいたと答えるはずだ。

地球は決して忘れることなく、過去の歴史は永遠に石と木に刻み込まれると彼らは言う。それでも、その過去の戦火によって流された血が、木や植物が巨大な森の影で育つ新しい生命に栄養を与え続ける。生命は塵に戻り、塵は生命を新しく産み出す。もしそれが真実であれば、近しい人の死にも悲しみは無く、死の向こう側にはそれでも、我々全員のまわりで生命力が育まれ、常に形を変え、死ぬ事は無い。そしてその魂は、生まれ変わるためにエイシャに戻る。悲しみはなく、報復の欲望もない。バランスは保たれる。調和は永遠に続く。

わたしはこういう考えを大切にしている。希望が湧いて来る。その希望とは、我々が成長し、過去の失敗を繰り返すことや憎しみのサークルを止めることができるようになるという希望。そして、美しさ、悲劇、そして最終的なヨンシャル森の生まれ変わりを思うことができる。

かつて、アイローランとヨンシャルは１つで、同じ土地、地のドラゴンのシラニャの界に存在した。しかしエンジェルたちやフェイスレスは、相互に壊滅を願い、彼らの最も破壊的な魔法を木の上に放った。地球を焼きこがし、枯れた荒地にした。森は死んだ。それでもなお・・・、森は、時間の試しと争いの狂気さに、誇りを持って立ち続ける 。エルフには、シラニャが創造した彼らのまま自然と自由に、安全な淵に住む者もいた。人間はいま、その境界に住み、そして、サイクルは続く。

ヨンシャルというのは、エルフの言葉で「遠く離れた故郷」という意味である。その名はかなり昔、私の祖先がマリン半島（現エイジン半島）を後にし、古代シャンティリが崩壊した後に付けられた。そして、イリサス海を渡り、アイローランにいる仲間のところへ行った。彼らはエルダー戦争の恐怖と狂気から逃れることを切望していた。ある日彼らは、２つの故郷が統一することを約束した。そしてその日は近いと、彼らの一部がアイローランに残った。ずいぶんと時間がたった。機会は失われ、約束は今新たな戦いと恐怖を起こさずしては果たせない状況におちいった。

これがあるべき姿である。彼らは、過去はもう１つの国であると言い、この言葉には英知が存在する。ヨンシャルはもうエルフのものではない。それでも、永遠である。我々エルフにとっては、過去が遠く離れた故郷である。

俺はこれまで、物書きみたいに振る舞おうと思ったことはないし、自分の思い出話など書くつもりもなかった。親友シエルの為でなければ、この本は存在しなかっただろう。彼女は、俺にはけっこうたくさん書く事があるって言った。彼女は、ドワーフがエルフに混じって１年も生活してた話など聞いたことがないと言った。ドワーフがシー・エルフたちとまる１年生活するなど、ありえない。まあ、俺のことなんだが。俺は、「ありえない男」、ヒルバート・ブリムストン。ドワーフであり海賊だ。

俺のことをちょっと話そう。俺はグリムハイムの地下ではストロングハンマー族にうまれた。俺は、親父や、親父の親父のように、鍛冶屋になるはずだった。炉で働いて、どこからどこまでも退屈だった。水を張ったバケツに金属の熱い塊を入れたとき、おかしなことが起こってることに気がついた。蒸気だ。これは毎日見てるもんだから、なぜ蒸気が発生するかなんて考えもしない。まあ、でも考えることになった。それでその事について分かれば分かるほど、可能性ってやつにもっと興味がわいてきた。これは大きな声じゃあ言えないがな・・・、火というのは、つまらないんだよ。ただ燃えるだけだ。水はというとな、液体の形をした「退屈」だ。でも蒸気は・・・。

もちろん、俺の実験は、ルーン・プリーストたちには気に入られなかった。奴らはドワーフは水遊びするもんじゃないと言いやがった。それは、アーカスへの冒涜だ。奴らですら意味が分かってない伝統にとらわれた愚かな老人だ。奴らは、反抗的な異端者みたいな振る舞いはやめて、大人しくここにいろと言った。そして俺は、違う道を選択し、そこを去った。俺はその時、水のことをもっと勉強したくなっていた。で、一番近い港ヘ行った。それは、アイローランだった。そこには、海のエルフの船の家が停泊していた。奴らのエルダー（奴らはキャプテンをこう呼ぶ）を説得して、旅に連れて行ってもらうことにした。エルダーは、一度港を出ると一年は戻れないことを俺に警告した。そして、奇妙なエルフ社会の中での旅が始まった。

海のエルフは、シャンティリ帝国の国民だったと奴らは言ってた。漁師をする奴と商人の奴らがいて、 母のシラニャと、主であるシャラッサの両方に信奉していた。それでエルダー戦争が始まって、多くのエルフたちがアイローランに戻った。中には海を愛しすぎた奴もいたけどな。エルフの伝説によると、奴らは導きを求めて、奴らのドラゴン女神両方に祈りを捧げたらしい。ドラゴンたちは祈りを捧げる者の声を聞き、木を歌って船を作る方法を教えた。シラニャとシャラッサは共に歌い、そして彼女たちの共通の声が最初の船の家を作った。

その後、海のエルフたちの間で不和が大きくなり、仲間割れと同時に、あのすごい船の家も小さな船に分割され、クルーたち、つまり海のエルフのクランが複数発生した。たぶん単なる伝説だけど、結構おもしろい話だ。

クランはもともと１７あったらしいが、今は１１しか残っていない。シエルのシャリナール船上のクランを数に入れると１２になるが。ただ、あのクランにはエルフよりナガの数が多い。他のクランは嵐や海賊に、また一度だけ、デーモンたちに沈没させられた。

ところで、奴らは木に歌を歌って船にするっていうのは本当の話だ。きちんと説明するのは難しいけどな。自分の目で見ると分かるよ、ほんとだ。そしてこの話は、あの信じられないような１年で俺がこの目で見た事の一部でしかない・・・。

[5A3700]シャンティリの宝[-]

欲深い権力者、薄汚い泥棒、そして好奇心旺盛なレイダーの者は聞くがいい・・・。お前たちが小便でズボンを濡らし、恐怖の涙でハンカチを濡らす話を。３人の友人たちが、歌にすらならなかった、人生の学びを体験した話。人生には、若死によりも悪い運命が存在する。

それは賭け、対象はこれといってないような、つまり、その年に誰が最高の価値を持つ宝を見つけられるかというような競争から始まった。皇帝のアーチ型天井や商人の銀行などは除外、アシャン全土に存在するもので、たった１つしか存在せず、飛び抜けて素晴らしいものでなければならなかった。それは、シャンティリの秘密である。シャンティリ没後の隠された５００年の時、語られる事の無かった力と名声と運、そして金持ちの話・・・、王が彼らの馬の体重をゴールドで１００回支払うような代物。
１人目は、氷のフォージとハンマー滝の遺跡で炎を見つけるために旅立った。彼女は地図と魔法のコンパスと、鍛え上げられた鋼よりも強い意思を持っていた。１０年後彼女は発見されたが、彼女は正常さを失ってしまった。彼女は、聖なる秘密を知ったが、誰かにその秘密は全て問題なかったと言われたそうだ。二度とシャンティリの宝の為に戦い苦しまなくて良いことは、彼女の心に平穏をもたらした。

２人目は男で、大気と海のフォージをある所から南部に向かって探し求め、そこは歓びの島の向こうだと言う。男は２年以内に戻ってきたが、一生分の年をとっていた。残った髪は白く、目はすり減って視力を失っていた。男は言った。秘密は見つけたが、痛みをこらえてまで手に入れる物ではなかった。それを取ることはできても、盗むことはできない。持つ事はできても持ち去ることはできない。それを自分の中に最初から持っているか、眠ったときになくなって行くかのどちらかというものだった。

３人目は、他の２人の友人が持つ男への思いよりも強く、その２人の友人を愛してしまった男だった。男はシャンティリ遺跡で知られる町カーサルへ向かった。入口を発見したが、中に入って戻って来たときには何か他の物に変わってしまうということが分かっていた。男は友達に自分のことを忘れてほしくなかった。だから２人が戻るのを待った。共に中に入り、共に手に入れる・・・長年の年月の宝や賢者の秘密を。

そして男は２番目に発った友人の亡骸を見つけた。若き死、失われた髪と勇気を嘆いた。眠れないある夜、男はダガーを取り出し、倒れた友人をエイシャの月まで運んだ。次は良い人生を送れるようにと願って。

男はどんな宝よりも心の底から本当に求めた女性を１０年待ち続けた。男が彼女を見た時、彼女は気が狂い抜け殻のようになっていた。彼女の意志は、湿った炉の火のように消えてしまっていた。眠れない夜、男はダガーを取り出し、倒れた愛する女をエイシャの月に運んだ。次は良い人生を送れるようにと願って。

そして、男は眠りについた。忘れ去られたシャンティリのフォージ、黒い薬瓶が男の指の間から落ち、男はエイシャの月へ飛んだ。次は良い人生を送れるようにと願って。

この話を聞き、最も価値のある宝は、探さねばならないものではないことを知るがいい。彼女または彼は、既に横にいるかもしれない。今こうして私たちが話をしている時も。
火の周りに、真の友達同士では隠してはいけない秘密がある。

炎の傍での物語。SCRYE・ザ・レイダー談

[5A3700]キャプテン・ハック XIV章 [-]

[5A3700]クラッグ・ハック[-]は、 [5A3700]エリダン・クロッシング[-]でうまれた。第７ドラゴン５２７年までの「１５の時代」の報告によると、彼は「傭兵」であったようだ。とはいえ、その若い年齢からは想像できない逸脱した「大胆」さと「度胸」で知られており、報告にも記載されている戦闘時の「野蛮」さや「残忍」さのため、指揮官といったようなものに育てられることはなかった。そんな性質のため、彼は[5A3700]野蛮人[-]と呼ばれ、[5A3700]人間[-]というよりは、 [5A3700]オーク[-]に近かった。彼の圧倒的な戦闘能力にも関わらず、クラッグ・ハックは、第７ドラゴン５４２年に [5A3700]エルフの刺客たち[-]に奇襲攻撃をかけられて左目を失った。これによって、エルフたちへの報復を狙う長い日々が始まった。

たしかに、 [5A3700]ビターアッシュ戦争[-]の後は、クラッグ・ハックは [5A3700]翡翠海[-]の[5A3700]パオ諸島[-]へ行き、オークたちに混じって数年生活し、彼らの「やり方」や彼らの「部族」の「一員」として、オーク「側」に立っての戦い方を学んだ。クラッグ・ハックという名前は、「出生」時に「親」から付けられた「名前」ではなく、オーク仲間が彼に付けたニックネームだというのが、私の「意見」である。私の「リサーチ」では、「キャプテン・ハック」の「出生時の名前」を確認することはできなかったのだが。

クラッグ・ハックは、[5A3700]ハンマー滝[-]に第７ドラゴン５５２年に再び姿を現し、 数々の彼のスキルに「セイリング」と「操縦」スキルを加え、町の[5A3700]商人のギルド[-]に彼の「剣」を売りに来た。ハンマー滝では「陸」での戦闘はないため、クラッグ・ハックは[5A3700]コルセア[-]となり、「ギルドの船」を [5A3700]海賊[-]から守る役目を担った。その役目を果たした後、彼の「自由」、「富」そして「戦闘」への「欲望」が、彼自身を「海賊」に変化させたのは、皮肉である。

クラッグ・ハックは、最終的にエルフの「フリゲート艦」を捕らえて自分のものとし、それを[5A3700]リベンジ[-]とした。この「偉業」によって「サヴァージュ海」の[5A3700]パイレーツ諮問会[-]に就任することになったが、だらだら「長い話」よりは「アクション」を好んだ「キャプテン・ハック」は、いわゆる「海賊のデモクラシー」というものには、すぐに飽きてしまった。そして、彼の「貪欲」さと「血を好む」性質が「帝国の権力者」たちとの衝突を招いた。特に、[5A3700]グレイハウンド[-]と[5A3700]ユニコーン[-]公領の「境」にある [5A3700]ベイワース[-]の町への派手な攻撃の後は。

彼は、町の防衛隊をハーピーの軍団もろとも打ち破り、クラッグ・ハックは、「臆病者」の町の権力者[5A3700]バロン・ラファス[-]をバカにして笑い、「町の宝」を略奪した。バロンは自分に恥をかかせ、町を荒らした「海賊」を決して許さなかった。キャプテン・ハックの首に[5A3700]賞金[-]をかけ、[5A3700]帝国の敵[-]の汚名を着せた。

(私の大事にしている「読み取り器」は絶対にわかっている。バロン・ラファスはその後、地獄の軍隊がベイワースに向かって行進してきたとき、自分を犠牲にして、[5A3700]痛みのデーモンプリンス[-]に決定的な打撃を与え、自分が英雄であることを証明した。キャプテン・ハックは、[5A3700]第２の蝕[-]の間中、誰からも姿を見られていない。)

クラッグ・ハックの不名誉なキャリアは、終わりからはほど遠かった・・・。

[5A3700]我々は何者？[-]カーサルの見捨てられた民だ！

ポートメイロンの塔が燃え盛り、軍隊がカーサルの壁にどっと押し寄せて来る中、デーモンたちはエイジン半島を制圧した。帝国は、我々を見捨てた。

我々の総督であり守り主であるロード・モンバードは、帝国に忠実に仕えて任務を全うし、孤独な死を遂げた。

グレイハウンドやユニコーン公領からは何の支援もなかった。我々を統治し我々の魂に力を与えると宣言していたのに。

我々は見捨てられた。グリフィンのデューク公爵やセブン・シティーズが介入してくれなければ、カーサルは灰と塵だけになっていただろう。

帝国はそして我々を無視した。もう無視されるのはこりごりだ！見捨てられるような事態は金輪際断じて許さない！

[5A3700]求めるものは？[-]仲介役ではなく、帝国に仕えることだ！

カーサルは、ファルコンの王冠の宝石の１つであるし、これからもそうあり続けるのだ。今は、ファルコンがそれを理解するときだ。

我々は分離を求めていない。我々が求めるのは、我々の人生を決定する権利。自分達を守る権利。帝国の善意ある支援のもとに存在する自治権を求めているのだ。

カーサルには、市議会を持ち、我々の運命など気にも止めない遠く離れた伯爵の承認を待つことなく、我々自身で決断を下せる自治権が必要なのだ。n
半島の総督は住民の中から選出したい。総督が、自己の欲望を押し付けることにしか興味のない見知らぬ者を、どこかの公領から選出するのには納得がいかない。

我々は、自分達の貿易や商業で街を発展させる権利を求める。我々のこの豊かな財産をユニコーンやグレイハウンドに搾取されることなく。

帝国の名のもとに、我々の命を守るための軍隊は、自分達で徴兵する権利を求める。

[5A3700]戦い続ける[-]カーサルのために！エイジン半島のために！

[5A3700]モンリン[-]は、エルフの言語のことで、アシャンの古い言語のひとつであり、 それは、多くの地名や建物の名前がエルフの言語が起源であることからも明らかである。我々のドラゴン神エルラスですら、エルフの名前でシンプルに「光のドラゴン」という意味である。

この本の目的はゆえに、私の大切にしている好奇心旺盛な「読み取り器」、耳障りのよい原理原則、地球の民の優雅な言語を教えることである。それでは、基本的な言葉から始めよう。

Ad(a):アド(アダ)-大地、場所、王国 (基本中の基本)
Adan:アダン-男、人間
Ag(a/i):アグ(アガ/アギ)-自然、手つかずの
Al(a):アル(アラ)? 永遠、エンドレス、不老
An(a/i):アン(アナ/アニ)? 友、愛されるもの
Ar(a):アー(アラー)? 火
Ash(a):アシュ (アシャ)? 調和、秩序
Ay(a):アイ(アヤ)? 宝石、原石

Beth:ベス? 絶望、悲しみ
Bor:ボー? 流れ

Chall:シャル? 避難所、家
Col:コル? 壁

Da:ダ? 日(曜日の名前、アシュダ、マルダ、エルダなどからわかるように)
Dam:ダム? 呪われた
Dan:ダン? 子供
Di(a):ディ(ダ)? ２、双子、２倍

El(a/e):エル(エラ/エレ)? 太陽、光
Er(a/e/u):エー(エラー/エレー/エルー)? １、寂しい、孤独、１つ
Fail:フェイル? 運
Fall:フォール? 大量、たくさん
Fin(i):フィン(フィ二)? 美しい、よい、公正
Fir(i):フィー(フィ二)? シャープ

Gal:ガル? 狼
Gar:ガー? 赤
Gath:ガス? 冷たい
Gathal:ガサル? 霧
Gil:ギル? 才能、プレゼント
Gor:ゴー? デーモン

Hal:ハル? ピュア、聖なる、「神聖」、良い

In(a):イン(イナ)? 淑女、高貴、高尚、光栄(女性の敬称)
Irn(a):イーン(イーナ)? 木

Ker:ケー? 巨大、すごい、凄まじい
Ky(a):キィ(キヤ)? 精神、意思

Lad:ラド? 谷
Lan:ラン? グレイド
Lin:リン? 歌、詠唱
Leth:レス? デス
Lir:リー? 歓び、笑顔
Loth:ロス? 葉
Lur:ラー? 平和

Mal:マル? 暗闇
Men:メン? 石
Mon:モン? 地球
Mor(a):モー(モラー)? 邪悪、堕落、冒涜
My(i)r:ミー(ミール)? 湖

Nar(a):ナー(ナラー)? 燃え盛る
Nec:ネク? 巣

Os:オス? 目
Ost:オスト? 見張り塔、砦

Rael:ラエル? 知恵
Raen:ラエン? 剣
Ran:ラン? 血
Ron:ロン? 慈悲
Rath:ラス? 龍
Ris:リス? 刃
Rista:リスタ? ギザギザ

Sai:サイ? 鋼鉄
Sal:サル? 鉄
Salgun:サルグン? 鎖
Seish:セイシュ? ヘビ
Sha:シャ? 港
Shad:シャド? 夜
Shal:シャール? 海、海洋
Shan:シャーン? 影
Sin(i):シン(シニ)? 魂、ソウル
Sor:ソー? 気味の悪い
Swe(h):スウェ(スウェー)? 肌
Sweris:スウェリス? 皮を剥がれた
Syl:スィル? 森、林
Syr:シール? 卿、高貴、高尚、光栄(男性の敬称)
Syris:シリス? 高見の宮殿、首都

Tal(a):タル(タラ)? 心
Talost:タロスト? 家、シェルター
Tar(a/i):ター(タラー/タリー)? 黒
Thal:サル? 緑
Thalla:サラ? 水
Thin:スィン? 銀
Thil:スィル? 灰色
Thir:スィル? ３、３つ組
Thra(l/n):スラ(スラル/スラン)? 強さ
Tor:トー? ファング
Ty:ティ? 古代
Tyl:ティル? 丘
Tyr:ティー? 山

Ur(a):ウー(ウラー)? 混沌

Van:ヴァン? 金
Vay(a):ヴァイ(ヴァヤ)? 迅速、速い
Vin:ヴィン? 戦争、闘い
Vir:ヴィー? 敵

Wel:ウェル? 春、泉
Wen:ウェン? 花
Wan(na):ワン(ワンナ)? 薄い
Wyn(na):ウィン(ウィンナ)? 白
Wyr:ウィー? 宿命、運命
Wys:ウィス? 風

Y(a):イ(ヤ)? 小さな、プチ(小さな女性)
Yesh:イェシュ? 囁き
Ygg:イッグ? 下
Yl:イル? 月
Yla:イラ? 空気
Yn:イン? 翼
Yon:ヨン? 遠い
Yr:イール? 星
Yrris:イリース? 矢

[5A3700]ハンマー滝の戦い[-]

ドラゴンの神々がまだアシャンの空を飛び回っていた頃、何千世紀も続いた平和が争いによってその幕を閉じた。デーモンたちはドラゴンたちが創世した世界をうらやみ、そして憎しみと嫉妬の全てをぶつけるようにして世界を破壊した。

勝利はドラゴンたちがおさめた。しかし、悲惨な事態は免れられなかった。傷つき、血を流し、神々はベールの向こうへと追いやられてしまった・・・。
そして、ドラゴンたちが血を流すと、地球はそれを記憶する・・・。

まったく本当に、我々はドラゴンの神々に戻って来てほしいとどれだけ願ったことか。その後我々は、戦争が実際に起こった場所、神々の血がクリスタルと化した場所に、美しい町を建てた。
そして、我々の心の隙間を埋めるように、その町を自分たちのものにするため戦い抜いた。
我々は、殺すことで忘却を手に入れた。

ハンマー滝！そこの君が探し求める町・・・は、聖なる大地にあった。
その町の下には、刃が魔法で作られていた頃から、長い間忘れ去られていた秘密の数々が隠れていた・・・。しかしまだまだ奥深くには・・・、記憶が眠っていた！
ドラゴンたちの記憶は、力である。ドラゴンたちの記憶は、人間にインスピレーションを与え、そしてデーモンたちを激昂させる・・・。

デーモンたちは、第２の蝕が始まるとともに、シェグの地獄を後にした。セブン・シティーズの魔法使いたちはアシャン全土のため、全力でその戦いでの勝利をおさめようとした。彼らの新しい軍隊は、馬の尾がハエをはたくよりも速いスピードで次々とデーモンたちを倒していった。しかし、魔法使いたちが、オークとサイクロプスを戦闘用に仕立て上げている間に、その他のアシャンの民は血を流した。ハンマー滝はデーモンたちによって第７ドラゴン３３１年に包囲されたが、同年中にコナーII世自ら率いるファルコンの騎士たちがデーモンたちを追い払い、ハンマー滝は崩壊から免れることができた。

コナーがハンマー滝の美しい通りを馬で通りかかったとき、商人や血の鍛冶職人から救世主として祝福され、その誘惑たるや凄まじかった。ドラゴンのクリスタルはその地域には豊富にあり、血の鍛冶職人はそのクリスタルで甲冑や武器を作る方法を知っていた。彼らのスキルと技術が、その町を豊かにしたのである。コナーはハンマー滝を併合し、その職人芸によって作られた物品を全て押収して神聖ファルコン帝国の保護下におき、そして要塞とプリーストの修道院の下に埋めた。

続いて、教会と城が滝の上にある町を望む高所に建てられ、それによって名付けられた。そして１世紀と半世紀が経った頃、自由になった人々は不平を言い始めた。血の鍛冶職人は身を隠した。

ハンマー滝が落ちたのは、オークと獣人が反乱を起こしたときだった。第７ドラゴン４７９年、帝国は、奴隷たちが帝国の領地の中心に住むようになってから、オークの軍隊で大忙しだった。ハンマー滝は、より懸念事項である東側からは遠く離れていた。だから、人々は町を取り返し、そこはオーク、そして旧ファルコン帝国の残虐行為から逃れてくる者の安全な避難所とすることを宣言した。

ハンマー滝の苦悩はまだ終わっていない。ドラゴンたちが賛意を与え、彼らの血が定めた物全てに対して、権利を主張するために野望と権力への渇望を抱く輩は、いつでも存在するのである。

[5A3700]第７ドラゴン５５８年ナイト・ベール２日[-]

今朝手紙を１通受け取った。そこには帝国の印章がついていた。
リアム皇帝は、私をエイジン半島の新総督に選んだ。これについてはグレイハウンドの公爵に感謝せねばならない。彼が皇帝に私の名を数ヶ月にわたって囁き続けてくれたその人物なのだから。しかしそれでも、彼が私に授けてくれたすばらしい栄誉については、彼の権威を称えることしかできない。

[5A3700] 第７ドラゴン５５８年ナイト・ベール７日 [-]

私は、前任であったアシュウッドの配偶者が亡くなったのを知っている。たしか老衰だった。どうやら私は間違っていたようだ。聞いた話が本当なら、彼は城の砦から落ちたということらしい。宿のオーナーによると、彼は呆けていて、支離滅裂状態になり、そして死を急いでジャンプしたとか。アシュウッドに会ったのは一度だけだが、彼は道理をわきまえた人間のように見えた。しかし、年を取ると心というのが一番の敵になったりするものだ。

[5A3700] 第７ドラゴン５５８年サン・ブロッサム１日[-]

本日、使いの者が秘密の道を発見した。その道は、城の下の地下洞窟につながっているという。おそらく、古い避難用トンネルか何かだろう。不快な空気が深いところからのぼって来ていたので、封印してしまうことにした。

[5A3700]第７ドラゴン５６０年シャイニング・スター２５日[-]

真夜中に目が覚めた。以前と同じように、私の横に浮かび、私の耳に囁きかける何かを、たしかに見た・・・。
寂しさが心に重くのしかかってきているのだろうか？何年も昔にした選択が、今になって私を呪いに戻って来たとか？

[5A3700] 第７ドラゴン５６１年ムーン・マザー６日[-]

今日は使用人をひどく批判しそうになった。彼を人間として見れず、何やらうす暗い生き物にしか見えなかった。睡眠不足にちがいない。ここ数ヶ月、しっかり眠れた夜は無い。

[5A3700] 第７ドラゴン５６１年笑う風１７日[-]

昨晩、またエロイーズの夢を見た。彼女は私がしたことを絶対に許してくれなかった。スキャンダルが私たちふたりをバラバラに引き裂いた。

(この記述から、モンバードの筆跡が突然読みにくくなる)

[5A3700] 第７ドラゴン５６１年ラディアント・クラウン１２日[-]

エロイーズは昨晩そこにいた。彼女は夢ではなかった。亡霊か？エルラスが私を苦しめるために送ったエンジェルか？
私にはまだ彼女の温もりを感じることができる。彼女は２０年前と同じように光り輝いていた。
私は気がおかしくなってきているのだろうか、でも彼女をまた失うくらいなら狂ってしまったほうがいい。

[5A3700]５６２年ブラッド・ムーン５日[-]

私はバラの茂みに彼女を捨てた。エルラスの教会の近く、あの日、２０年前。我々の娘。それしか方法がなかった。修道女達がよく面倒を見てくれたに違いない。

[5A3700]５６２年スパイダー・クイーン２１日[-]

エロイーズは、全ては許され、それよりも緊急性の高い脅威が、帝国の周りに影を落としていると、言った。フェイスレスが戻って来ている。私たちの中に紛れこんで身を潜めている。
今朝、新しい目的意識とともに目が覚めた。私は帝国を闇から救わねばならない。

[5A3700]５６２年ホワイト・メイデン３日[-]

フェイスレスに対抗し半島を守るために、民兵の雇用を開始した。闇の民からこの聖なる土地を守るのは私の神聖な義務だ。

[5A3700](判読不能)、５６４ [-]

フェイスレスはポートメイロンを制圧した。それとも、奴らはデーモンか？見分けがつかなかった。蝕によって空は燃えている。奴らのリーダーは人間に見えたが。フェイスレスの刺客たちは正体を分からないようにしているのではないのか？炎のような翼をもつエンジェルが彼の横にいた

[5A3700](判読不能)、５６４[-]

半島は負けた。それでも生きている限りわたしは戦う。フェイスレスが私たちに紛れ込んでいるのはわかっている。そうだ、城の下の古いトンネルがあった。あそこに自分の軍隊を作ろう。そしてあのクリーチャーたちから我々の土地を取り戻すのだ。エルラスに誓って！

これが読まれているということは、俺はたぶん死んでいるんだろう。

自分がこんなことを書くことになるなんて未だに信じられないけど。俺は常々、俺たち人間が、死人が残すお決まりのメッセージを見つけてしまったりすることなど本当にあるのだろうかと不思議に思う側の人間だった。罠に気をつけろだとかいう警告や、謎を解くヒントはこれだ、とか。そして今、俺はそれを書いている。何と言う皮肉だろうか。

そしてこれは実際、警告だ。

俺たちは、そのドラゴンの聖なる場所までシヴァについて行った。その場所は、千の恐怖の墓として伝説の数々で語られている。そんな名前が付いていちゃあ、俺たちは真面目に受け取らなかった。でも、そうするべきだった。

まず、最初は全てがうまく行っているように見えた。その場所はかなり広く、一番の危険は道に迷うことくらいだった。それか、そこら中に開いてた穴や裂け目にはまることとか。静かな場所だと思っていたんだが、実際それは、眠っていただけのことだった。

アルテミスと俺は、ある壁に秘密の抜け道を見つけた。そこを通って行くと、両開きのドアがある広い部屋に辿り着いた。アルテミスは、そのドアには何か封印の魔法がかかっていると言った。そしてそれは、エルラスの力があれば呪文を解けると。俺たちは、向こう側には宝があると信じていた。だけど、ドアは侵入者が入らないようにするための物ではなくて、そこから何かが出られないようにする目的で存在していた。

呪文が解けたら、ドアは勢い良く開いた。内側から声が聞こえた。笑い声だった。

影から何かが俺たちを攻撃してきた。あんな生き物は見たことがなかった。たちの悪い、牙やら爪やら触手やら一切合切。奴らに名前を付けるとしたら、現実化した悪夢ってとこか。奴らはアルテミスが光のパワーを召喚して自己防衛する前に、彼女を半分に引き裂いた。

シヴァ、イロストそして俺はトンネルを抜けて全力で逃げた。真のディフェンダーであるラグナーは居残って、俺たちが逃げるのをヘルプした。ラグナーは何回か攻撃をかわした。でも何かが奴を捕まえてその深い穴に投げ込んだ。

俺はシヴァとイロストからはぐれてしまった。そして、あれが、あの暗闇で笑ってたやつが、俺を捕まえにきた。

長い爪の付いた触覚が俺の顔をはたいたと思ったら、もう１つが俺の鎧を突き刺し、皮膚まで貫通した。そいつは回廊まで俺を引きずりこみ、そして奴とまともに向かいあった。白い仮面。何の表情も無かったが、仮面の下にあるものから溢れ出して来る侮辱を感じ取ることができた。その生き物は、フェイスレスに違いないと気がついた。マラッサの伝説の手下の１つ、真の闇。そして俺たちが、そいつを解き放ってしまったのだ。

そいつは俺を投げ飛ばした。そして、俺の目の前で、変身した。翼が消えた。その細く、傷だらけの体には筋肉が現れ、服が体を覆った。その代わりに、仮面は無くなっていた。人間の目が俺を見下ろしていた。俺のこの目を。

そいつは微笑んで、俺を闇に置き去りにした。

その迷路から出口を探したが、傷が深すぎて一歩進む度に衰弱していくのを感じた。そうして辿り着けたのは、フェイスレスの独房だった。ドラゴンの神様たちってのは、冗談きついぜ。

いいか、覚えておけ。そこには、ダンスタンという奴がいる。人間の男に見えるが、違う。あれは、極めて悪質な生き物だ。邪悪で、古代の。俺の友達の命を奪い、俺の命、そして顔を奪った。

エイシャに会ったら、誰か奴を止めてくれるように頼むつもりだ。